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内臓動脈瘤(脾動脈瘤・腎動脈瘤・肝動脈瘤・腸間膜動脈瘤・正中弓状靭帯症候群関連動動脈瘤など)のカテーテル治療
脾動脈瘤・腎動脈瘤・肝動脈瘤・腸間膜動脈瘤・正中弓状靭帯症候群関連動脈瘤などを、血管の内側から治療します。
内臓動脈瘤は、お腹の臓器に血液を送る動脈の一部が、こぶのようにふくらむ病気です。多くは症状がなく、別の目的で受けたCTなどで見つかります。すべてに治療が必要なわけではありませんが、破れると体内で出血し、命に関わることがあります。
カテーテル治療は、細い管を血管に入れ、こぶに流れ込む血液を遮断して破裂を防ぐ治療です。破裂した場合の止血にも用います。お腹を切開せずに治療できることが特長です。画像検査で血管の状態を調べ、経過観察や手術も含めて方針を検討します。
治療適応
大きさだけでは決まりません。動脈の種類、こぶの形や大きくなる速さ、痛み・出血の有無、妊娠の可能性、背景にある病気などを合わせて判断します。症状がなくても、小さい段階で治療を検討する動脈瘤もあります。
脾動脈瘤や腎動脈瘤でも、2cmや3cmといった目安は診療指針や条件によって異なります。「2cmを超えたら必ず治療」「3cm未満なら安全」とは言い切れません。胃十二指腸動脈瘤や膵十二指腸動脈瘤などでは、大きさによらず治療を検討します。
破裂の危険が低いと判断した場合は、定期的な画像検査で経過を見ます。経過観察は放置ではなく、変化を確認し、必要になった時点で治療するための選択肢です。
主な内臓動脈瘤と仮性動脈瘤
対象となる血管には、脾臓に向かう脾動脈、腎臓に向かう腎動脈、肝臓に向かう肝動脈、腸に向かう腸間膜動脈などがあります。腹腔動脈や、胃・十二指腸・膵臓に向かう動脈にも生じます。その他の部位の内臓動脈瘤もご相談ください。
血管の壁がふくらむ「真性動脈瘤」とは別に、壁が傷つき、漏れた血液が周囲の組織に囲まれてこぶをつくる「仮性動脈瘤」もあります。手術、けが、膵炎などが原因となり、小さくても出血の危険が高いため、原則として速やかに治療を検討します。
カテーテル治療について
脚の付け根や腕などの動脈に細い孔を開け、そこからカテーテルを入れ、X線画像と造影剤で血管を確認しながら、動脈瘤まで進めます。主に局所麻酔で行いますが、必要性や希望により鎮痛薬・鎮静薬を組み合わせる場合もあります。
コイル塞栓術:こぶへの血流をふさぐ
金属製の細いコイルなどを留置して、動脈瘤に血液が流れ込まないようにします。こぶの中を詰める方法と、こぶの手前・先の血管をふさぐ方法があり、形や位置に合わせて選びます。必要に応じて、ほかの塞栓材料やステントを組み合わせます。
血管をふさぐ場合は、別の経路から臓器へ血液が届くかを確認します。特に腎臓や腸では血流の確保が重要で、正常な組織への影響をできるだけ抑える方法を検討します。
ステントグラフト留置術:血流の通り道をつくる
膜で覆われた金属の筒(ステントグラフト)を血管内に広げ、こぶへの血流を遮断しながら、その先の臓器に向かう血流を保つ方法です。血管の太さ、曲がり方、枝分かれ、固定する場所などの条件が合う場合に選択できます。
治療後にカテーテルは抜き取りますが、コイルやステントグラフトは通常、体内に残します。動脈瘤そのものを取り除く治療ではありません。
開腹手術と比べたメリットと、治療の選び方
傷が小さい
針を刺す部位の小さな傷から治療でき、お腹を大きく開く負担を避けられます。
回復が比較的早い
適した症例では、開腹手術より入院や回復にかかる期間が短くなることが期待できます。
臓器を残せる可能性
脾臓や腎臓などの切除を避けて臓器の血流を残しながら治療できる場合があります。ただし、手術でも臓器を残せる場合があり、塞栓術でも臓器の働きに影響が出ることもあります。
血管が細い・強く曲がっている、重要な枝がこぶから出ているなどの場合は、カテーテル治療が適さないことがあります。手術では動脈瘤の切除や血管の修復・再建を行います。感染や臓器の障害を伴う場合にも手術が必要になることがあります。関連診療科と連携し、破裂を防ぐ効果と臓器への影響を比較して選ぶ事が大切です。
治療後の経過と、主な副作用・合併症
治療後は、針を刺した部位の出血を防ぐため、一定時間安静にします。痛み、発熱、吐き気などが出ることがあり、症状に応じて薬などで対応します。入院日数や仕事・運動の再開時期は、治療する血管や治療後の状態によって異なりますが、ほとんどの場合は数日の入院です。
主な合併症には、針を刺した部位の出血や血腫、血管の損傷、造影剤によるアレルギーや腎機能への影響があります。また、治療材料が意図しない血管に流れたり、必要な血流が減ったりすると、臓器の一部が傷むことがあります。部位によっては腎機能の低下、脾臓の感染、腸の障害などにつながり、追加の処置や手術が必要になることがあります。
治療後も、定期的な検査が必要です
動脈瘤への血流が残ったり、いったん止まった血流が再び入ったりすることがあります。ステントを使った場合は、狭くなったり詰まったりしていないかも確認します。CT・MRI・超音波などで経過を調べ、必要に応じて追加治療を検討します。
ステントを使用した場合などは、血栓を防ぐ抗血小板薬が必要になることがあります。薬の種類や期間は個別に決めます。出血が心配なときや、ほかの手術・歯科治療を受けるときも、自己判断で中止せずご相談ください。
よくある質問
Q.症状がなくても受診したほうがよいですか?
はい。症状がなくても、画像から治療が必要と判断する場合があります。健診などで動脈瘤を指摘されたら、画像検査の結果を持ってご相談ください。
Q.血管をふさいでも、臓器は大丈夫ですか?
血管のつながりを調べ、臓器に必要な血流をできるだけ残す方法を選びます。ただし、影響を完全になくせるとは限りません。血流を保つことが難しければ、別の治療法を検討します。
Q.妊娠を希望している場合は?
妊娠によって破裂の危険が高まる動脈瘤があり、特に脾動脈瘤では注意が必要です。妊娠前の段階でご相談ください。すでに妊娠中、または妊娠の可能性がある場合も、検査や治療を計画する前にお知らせください。
医療機関の先生方へ
治療適応が未確定の段階でもご相談ください。比較できる過去画像と造影CT画像があればご提供ください。
破裂や出血が疑われる場合や早急な治療が必要な仮性動脈瘤の場合は、通常の紹介予約ではなく緊急対応が必要ですので、救命救急センターを経由してご紹介ください。
急な痛みや出血の症状があるときは
突然の強い腹痛・背中の痛み、冷や汗、ふらつき、意識が遠のく症状、血を吐く・血便が出るなどの症状がある場合は、破裂や出血の可能性があります。通常の外来予約を待たずに救急受診してください。
内臓動脈瘤の治療について相談する
「経過観察でよいのか知りたい」「手術以外の方法を検討したい」という方もご相談ください。画像検査の結果をもとに、治療の必要性と、ご自身に合う選択肢を一緒に検討します。
患者さん
医療機関
本ページは一般的な医療情報です。個々の診断・治療方針は、診察と検査の結果に基づいて決定します。