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精索静脈瘤のカテーテル治療

逆流している静脈を血管の内側からふさぎ、陰嚢の痛みや、精子をつくる働きの改善を目指します。

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は、精巣の周囲の静脈がふくらむ病気です。静脈の血液が逆流・うっ滞することなどで起こり、左側に多く見られます。症状がない方もいますが、立っているときの陰嚢の重い感じや鈍い痛み、精巣の大きさの左右差、不妊の検査をきっかけに見つかることがあります。

カテーテル治療(精巣静脈塞栓術)は、細い管を静脈に入れ、逆流の原因となる血管を内側からふさぐ方法です。精巣の周囲を切開せずに治療できることが特長です。すべての精索静脈瘤に治療が必要なわけではなく、泌尿器科と連携し、経過観察や手術も含めて検討します。

どのような場合に治療を検討しますか?

不妊の評価で精索静脈瘤が見つかった場合

妊娠を希望していて、診察で確認できる精索静脈瘤があり、精液検査にも異常がある場合などに、治療を検討します。画像検査だけで見える小さな静脈瘤や、精液検査が正常な場合は、不妊改善を目的とした治療を通常は勧めません。

陰嚢の痛みや重さが続く場合

陰嚢を支える下着や痛み止めなどで十分に改善せず、生活に支障がある場合は治療を検討します。ただし、陰嚢の痛みには別の原因もあるため、診察で精索静脈瘤との関連を確認します。

手術後に症状や逆流が残っている場合も、血管の状態を調べて治療法を検討します。成長期のお子さんは、精巣の発育を含めて評価し、成人とは分けて判断します。

治療前にどのような検査をしますか?

立った姿勢や、お腹に力を入れた状態で診察し、必要に応じて超音波検査やMRI検査で静脈の逆流や精巣の大きさを確認します。検査結果と症状、これまでの治療、ご希望を合わせて方針を決めます。

カテーテル治療はどのように行いますか?

仰向けになり、首や脚の付け根などの皮膚に局所麻酔を行います。そこから静脈にカテーテルを入れ、X線画像を見ながら精巣静脈まで進めます。必要に応じて鎮痛薬・鎮静薬を組み合わせます。

造影剤で血管のつながりと逆流を確認し、小さな金属製のコイルなどで原因となる静脈をふさぎます。血管の形や流れに応じて治療範囲と材料を選びます。最後に血流を確認し、カテーテルを抜いて、針を刺した場所を圧迫して止血します。

精巣に血液を送る動脈をふさぐ治療ではありません。逆流する静脈をふさぐことで、精巣から戻る血液がほかの静脈を通って流れるようにします。留置したコイルは通常、体内に残します。

手術と比べたメリット

  • 小さな傷から治療できます。精巣周囲の組織を切開して静脈を探す操作を避けられます。
  • 局所麻酔で行えることが多く、全身麻酔を避けられる場合があります。
  • 回復にかかる期間が短いことが期待できます。海外では日帰り治療として行う施設もあります。

ただし、傷や痛みが全くない治療ではありません。麻酔、入院の要否、仕事への復帰時期は、治療内容と体調に合わせてご案内します。

塞栓術には傷や麻酔の負担を抑えられる利点がある一方、血管の形によってはカテーテルが届かず、治療を完了できない場合があります。妊娠・出産につながる効果が、手術より優れているとまではいえません。血管の状態、既往治療、妊娠の希望、各治療の利点とリスクを比較して選びます。

治療の効果と限界

塞栓術により、陰嚢の痛みや重さが軽くなり、精液所見の改善が期待できる場合があります。ただし、効果には個人差があり、血管の逆流を止められても、痛みや精液所見が改善しないことがあります。

精液検査の改善と、妊娠・出産に至ることは同じではありません。不妊には複数の要因が関係するため、パートナー側の評価も含め、泌尿器科・生殖医療の担当医と治療計画を相談する必要があります。

再発や追加治療について

米国の放射線関連学会による患者向け資料では、塞栓術後の再発は約5~10%と説明されています。対象や治療法、観察期間によって頻度は異なり、当院の成績や個人の再発確率を示す数値ではありません。

逆流が残ったり、いったん改善した後に再び逆流したりすると、追加の塞栓術や手術を検討することがあります。治療後も症状を確認し、必要に応じて超音波・精液検査などで経過を見ます。

主な副作用と合併症

針を刺した部位の痛み・出血・血腫、血管の損傷、造影剤へのアレルギー、感染などがあります。治療後に陰嚢・下腹部・腰の痛みが出ることもあり、症状に応じて痛み止めなどを使います。

まれに、コイルなどの材料が予定した場所から移動し、別の血管に入ることがあります。状況によっては、回収などの追加処置が必要です。X線による被ばくも伴うため、画像を確認しながら必要な範囲で行い、線量をできるだけ抑えます。

よくある質問

A.

いいえ。精索静脈瘤があっても、自然に妊娠に至る方はいます。静脈瘤の有無だけで妊娠のしやすさは判断できません。妊娠を希望している場合は、精液検査などを含めてご相談ください。

A.

痛みや腫れは経過を見ながら評価します。精液所見の変化は治療直後には判断せず、数か月単位で確認します。

治療後の日常生活

治療後は一定時間安静にし、針を刺した場所の出血や痛み、体調を確認します。退院後も無理をせず、仕事、運動、重い物を持つ作業、入浴、性交の再開時期は担当医の指示に従ってください。

鎮静薬を使用した場合は、ご自身で運転して帰宅できません。付き添いなどの帰宅方法を事前に相談し、運転を再開できる時期も確認してください。

医療機関の先生方へ

適応が未確定の段階でもご相談ください。治療目的(疼痛/不妊など)、患側・触診所見、超音波での逆流・精巣容積、精液検査、既往治療と再発の有無をご提供ください。不妊例では、ご本人の同意のもと、パートナーの年齢や生殖医療の治療計画など、治療時期の判断に必要な情報も共有いただけると有用です。

精索静脈瘤の治療について相談する

「治療が必要なのか知りたい」「手術以外の方法も比較したい」という方もご相談ください。検査結果をもとに、泌尿器科と連携して治療の必要性と選択肢を検討します。

患者さん

医療機関

本ページは一般的な医療情報です。個々の診断・治療方針は、診察と検査の結果に基づいて決定します。