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子宮筋腫を、お腹を切開せずに治療する選択肢 ― 子宮動脈塞栓術(UAE)
「月経の出血が多く、外出や仕事に支障がある」「貧血を繰り返す」「お腹の張りがつらい」。子宮動脈塞栓術(UAE)は、こうした子宮筋腫による症状を、子宮を残しながら改善するためのカテーテル治療です。筋腫へ血液を送る血管をふさぎ、時間をかけて筋腫を小さくします。お腹や子宮を切開せずに行える治療の一つです。
子宮筋腫とは
子宮筋腫は、子宮の筋肉からできる良性の腫瘍です。症状がなければ、検査を受けながら経過をみることもできます。月経の出血量が多い状態(過多月経)、貧血、月経痛、下腹部の圧迫感、頻尿などで生活に支障がある場合に、治療を検討します。
どのような方で検討しますか
症状のある子宮筋腫で、子宮を残したい方、手術以外の選択肢を知りたい方、薬で症状が十分に改善しない方などが対象です。筋腫の大きさ・数・位置だけでなく、症状や妊娠希望、持病を踏まえて判断します。
妊娠中、骨盤内に感染がある場合、子宮の悪性腫瘍が疑われる場合などはUAEを行いません。将来の妊娠を希望する方には、原則として婦人科と相談の上、筋腫核出術などを検討しますが、部位や動脈の走行によります。子宮を残すことと、妊娠する力を保つことは同じではありません。
子宮動脈塞栓術はどのような治療ですか
脚の付け根や手首などの動脈から細い管(カテーテル)を入れ、X線画像を見ながら通常は左右の子宮動脈へ進めます。カテーテルから専用の小さな粒子を注入して筋腫への血流を減らし、縮小と症状の改善を目指します。カテーテルは治療の最後に抜き取ります。
UAEのメリット
子宮を残しながら、症状の改善を目指せます
子宮を摘出せずに、過多月経や圧迫感などを軽くする治療です。米国インターベンショナルラジオロジー学会の患者向け情報では、約9割の方で症状の明らかな改善または消失が得られると説明されています。この数字は筋腫が完全になくなる割合ではありません。
お腹や子宮を切開せずに治療できます
皮膚の小さな針穴から治療するため、大きな手術の傷を伴いません。通常は局所麻酔を用い、鎮痛薬や必要に応じた鎮静薬で痛みや不安を和らげます。
入院や療養の負担を抑えられる可能性があります
UAEは他の侵襲的治療と比較して入院期間が短く、日常生活への復帰が早い傾向が示されています。
輸血が必要になる可能性が低いと報告されています
無作為化比較試験をまとめたコクランレビューでは、子宮全摘術や筋腫核出術と比べ、UAEでは輸血が必要になる可能性が低いことが示されています。
ほかの治療との違い
治療の選択肢には、薬物療法、筋腫だけを取り除く「筋腫核出術」、子宮を取り除く「子宮全摘術」などがあります。婦人科と相談の上、各患者さんに最適な治療をご提案します。
UAEは筋腫を摘出する治療ではないため、症状が十分に改善しない場合や再び悪化した場合に、追加のUAEや手術が必要になることがあります。「子宮を残したい」「療養期間を短くしたい」「再治療の可能性をできるだけ減らしたい」など、大切にしたいことをお聞かせください。
どのくらいで効果が出ますか? 再治療はありますか?
筋腫は治療直後になくなるのではなく、数週間から数か月かけて縮小していきます。月経の出血量や圧迫感の変化を確認し、画像検査と合わせて効果を判断します。筋腫が画像に残っていても、症状が改善していれば、基本的には追加治療は必要ありません。
英国のFEMME試験の4年追跡では、筋腫に対する追加の処置を受けた割合は、UAE群で24%、筋腫核出術群で13%でした。これは一つの研究での結果であり、すべての方に当てはまる数字ではありません。体への負担だけでなく、長期的な経過も含めて治療を選ぶ事が大切です。
副作用・合併症について
治療当日から数日間の痛み・発熱
治療中から治療後に、月経痛のような下腹部痛が出ることがあります。痛みは治療当日から翌日に強くなることが多く、鎮痛薬で和らげます。数日間は吐き気、微熱、だるさを伴うこともあります。これは筋腫への血流が減ることに伴う反応(塞栓後症候群)です。「傷が小さい治療」でも、痛みがないわけではありません。
おりもの・出血、月経への影響
血液の混じったおりものが続いたり、筋腫の組織が腟から出たりすることがあります。また、月経が一時的に不規則になるほか、稀ですが卵巣の働きが低下して月経が戻らなくなる場合があります。
そのほかの合併症と追加治療の可能性
子宮などの感染、針を刺した部位の出血や血管の損傷、造影剤によるアレルギーなどがあります。稀ですが、重い感染などでは、子宮を摘出する手術が必要になることもあります。造影剤で具合が悪くなった経験のある方は、事前にお知らせください。
将来の妊娠を希望する方へ
UAE後に妊娠・出産した報告は多数ありますが、妊娠のしやすさや妊娠・出産への影響は完全に解明されていません。日本IVR学会のガイドラインでは、妊娠する力を保ちたい方へのUAEは勧めていません。今すぐの予定がなくても、将来妊娠を考えている方や迷っている方は、治療を決める前にご相談ください。
退院後、こんなときは連絡してください
38℃以上の発熱が続く、いったん軽くなった下腹部痛が強くなる、強い悪臭のあるおりものが出る場合は、ご連絡ください。通常の予約日まで待たないでください。
大量の出血、意識が遠のく、息苦しいなどの重い症状がある場合は、救急受診し、緊急時は119番へ連絡してください。
受診・紹介時にご用意いただきたい情報
患者さん
紹介状、撮影済みのMRI・超音波などの画像データ、血液検査結果、お薬手帳をご用意ください。月経の出血量や生活で困っていること、妊娠希望もお伝えください。薬は自己判断で中止しないでください。
医療機関の先生方
適応が未確定の段階でもご相談ください。症状、貧血の程度、治療歴、妊娠希望、画像データ、実施済みの婦人科検査結果をご提供ください。
よくある質問
Q.筋腫が大きい、または数が多くても受けられますか?
大きさや数だけで決まるわけではありません。MRIなどで位置や性状を確認し、期待できる効果とリスクを評価します。複数の筋腫をまとめて治療できる場合もあります。
Q.仕事や家事はいつから再開できますか?
仕事を休む期間として1~2週間程度が目安です。あくまで目安で、疲れやすさが残る方や、力仕事をする方では長めの休養が必要になることがあります。入院日数と復帰時期は個別にご案内します。
退院後数日は無理をせず、家事や育児の手助けを頼めるようにしておくと安心です。運動、重い物を持つ作業、性交渉、タンポンの使用などの再開時期は、退院時の説明に従ってください。
Q.子宮を摘出せずに済みますか?
UAEは子宮を摘出する治療ではありませんので、基本的に子宮を残すことが出来ます。ただし、効果が不十分な場合や重い感染などでは、後から手術が必要になることがあります。
Q.相談したら、必ずUAEを受けることになりますか?
いいえ。相談の段階で治療を決める必要はありません。経過観察や薬物療法、手術も含め、ご希望に合う方法を一緒に検討します。
子宮筋腫のカテーテル治療について相談する
月経や貧血のために生活が制限されている方、子宮を残せる治療を探している方はご相談ください。婦人科と放射線診断科が連携し、症状と筋腫の状態、ご希望に応じて治療方法をご提案します。
患者さん
医療機関
本ページは一般的な医療情報を提供するものであり、個々の患者さんの診断・治療方針を決定するものではありません。