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腎血管筋脂肪腫を、腎臓をできるだけ残して治療するカテーテル治療

腎血管筋脂肪腫(AML)は、血管・筋肉・脂肪からなる、通常は良性の腎臓の腫瘍です。すべての方に治療が必要なわけではありませんが、腫瘍の血管から出血することがあるため、症状や画像検査から治療の必要性を判断します。カテーテル治療(選択的動脈塞栓術)は、腫瘍へ血液を送る血管を内側からふさぎ、出血の予防・止血や縮小・症状改善を目指す治療です。お腹を大きく切開せず、正常な腎臓をできるだけ残せることが特長です。

「何cmなら治療」ですか?

大きさだけでは決まりません。4cmは治療を検討する目安として使われてきましたが、病変によっては4cmを超えていても経過観察が適切な場合があります。痛み・血尿・出血の有無、増大の速さ、腫瘍内の血管のこぶ(動脈瘤)、妊娠の希望などを総合して判断します。症状がなくても、健診などで指摘された段階で相談できます。

選択的動脈塞栓術とは

脚の付け根などの動脈から細い管(カテーテル)を入れ、X線画像を見ながら腫瘍へ血液を送る血管まで進めます。血管をふさぐ専用の粒子や薬剤、金属コイル、液体塞栓物質などを使い、腫瘍への血流を減らします。正常な腎臓に向かう血流への影響をできるだけ抑えるよう、治療する血管を選びます。カテーテルは治療終了時に抜き取ります。

腎臓を切除せず、働きをできるだけ残します

腫瘍の血管のみを狙って治療するため、正常な腎臓の昨日を残したまま、破裂を予防したり症状を抑えられる可能性があります。腫瘍が大きい場合や、手術で腎臓を残すことが難しい位置にある場合にも選択肢となります。ただし、血管の状態などによっては腎臓の一部への血流が減り、腎機能に影響することはあります。

傷が小さく、体への負担を抑えられます

皮膚の小さな針穴から治療するため、開腹手術のような大きな傷を伴いません。局所麻酔に鎮痛薬や鎮静薬を組み合わせて行えるため、全身麻酔が難しい方にも行うことができます。

入院や日常生活への復帰が比較的短く済みます

手術と比べて回復にかかる期間が短くなることが期待できます。ただし、治療後に痛みや発熱が出ることがあり、退院や仕事への復帰時期には個人差があります。入院日数と活動再開の目安は、治療計画に合わせてご案内します。

出血している場合の止血にも使えます

腫瘍の血管が破れて出血している場合には、緊急の止血治療として用いられます。出血源を血管の内側からふさぐことで、腎臓の摘出を回避できる場合があります。

ほかの治療との違い・選び方

腎部分切除術は、腫瘍を切除しつつ腎臓を残す手術です。切除した組織を詳しく調べられ、塞栓術に比べて追加治療が少ない傾向があります。腎がんなどとの区別が難しい場合には、生検や手術を優先して検討する必要があります。

針を腫瘍へ直接入れる凍結療法・焼灼療法もありますが、AMLに対する報告は限られています。塞栓術とは治療の方法や適した病変が異なり、どちらが優れているかを一律には決められません。

結節性硬化症という病気に伴うAMLでは、出血がなくても増大する腫瘍に対して、増殖を抑える薬(mTOR阻害薬)を優先して検討する場合があります。背景の病気を含めて治療を選びます。

カテーテル治療がすべての方に最適とは限りません。経過観察も含め、腫瘍の性質と腎機能、ご希望に合わせて治療方針を相談します。

治療の効果と、その後の経過

治療の主な目的は、出血の危険を減らし、痛みなどの症状を改善することです。腫瘍は時間をかけて小さくなることが多いものの、完全になくなるとは限りません。海外の2施設・計58回の塞栓術を調べた研究では、96%の処置で腫瘍の縮小が見られ、最大の縮小に達した時点での直径の減少率は中央値30%でした。これは当院の成績ではなく、個々の治療効果を保証するものではありません。

治療後もCT・MRIなどで血流や大きさを確認し、血液検査で腎臓の働きを調べます。再び血流が増えたり、腫瘍が大きくなったりした場合には、追加の塞栓術や手術を検討します。結節性硬化症に伴うAMLでは、追加治療が必要になりやすいことが報告されています。

主な副作用・合併症

治療後には、腰や脇腹の痛み、発熱、吐き気、だるさが出ることがあります。血流を減らした組織の炎症による反応(塞栓後症候群)で、多くは数日程度で軽快します。必要に応じて薬で和らげます。

このほか、針を刺した部位の出血、造影剤によるアレルギーや腎機能への影響、正常な血管がふさがることによる腎臓の障害、感染などがあります。重い合併症では、追加の処置や手術が必要になることがあります。

X線を使うため、妊娠中または妊娠の可能性がある方は事前にお知らせください。

急な強い痛みがある場合

突然の強い腰痛・脇腹痛・腹痛、冷や汗、ふらつきや意識が遠のく症状がある場合は、出血の可能性があります。通常の外来予約を待たずに救急受診し、意識が遠のくなど重い症状がある場合は119番へ連絡してください。目に見える血尿が出た場合も、速やかに医療機関へご相談ください。

よくある質問

A.

良性でも、腫瘍内の血管から出血することがあったり、痛みを生じることがあるためです。出血の危険が低く、症状がない場合には、検査で様子を見る方法を選べます。

A.

腎臓全体の血管をふさぐのではなく、腫瘍に向かう血管を選んで治療します。正常な腎臓をできるだけ守る方法です。

A.

治療後も定期的な検査が必要です。腫瘍の大きさだけでなく、血流や症状の変化も確認して効果を判断します。

医療機関の先生方へ

適応が未確定の段階でもご相談ください。画像データがある場合には是非ご提供ください。

腎血管筋脂肪腫のカテーテル治療について相談する

「経過観察でよいのか知りたい」「腎臓をなるべく残したい」「手術以外の方法を相談したい」という方も、画像検査の結果をもとに治療の必要性と選択肢を検討します。

患者さん

医療機関

本ページは一般的な医療情報を提供するものであり、個々の患者さんの診断・治療方針を決定するものではありません。