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呼吸器外科ご紹介
国立国際医療センターの呼吸器外科は、肺癌・転移性肺腫瘍などの悪性疾患を中心に、肺癌、縦隔腫瘍、気胸、膿胸、胸部外傷など、特定の疾患にとらわれず、ほぼ全ての呼吸器外科分野に対応しております。加えて、他院では対応困難な炎症性肺疾患(結核、非定型抗酸菌症、肺アスペルギルス症など)に対する治療も呼吸器内科と協力して積極的に行っております。
当科の特長として、ロボット支援下手術があります。2020年より手術用ロボット(ダビンチXi)による手術を開始して以降、2025年末までに400例近くのロボット支援下手術を行ってまいりました。2024年は肺癌に対する解剖学的切除の92%をロボット支援下に行い、これまで開胸への移行は1件もありません。
2025年11月に当科の肺がん治療・ロボット手術に関するインタビュー記事が「MedicalNote(メディカルノート)」に掲載されましたので、下記リンクからぜひご覧ください。
- 肺がんの特徴やリスク――ステージに合わせた治療選択と早期発見の重要性
- 体への負担が少なく根治性の高い治療が登場――胸腔鏡やロボットによる肺がん手術
- 幅広い肺がんの患者さんに対応――ロボット支援下手術の実績を積み重ねる国立国際医療センター
また、当院には外国語(英語・中国語・ベトナム語・ネパール語)の通訳が常駐しており、国際診療部も設置されておりますので、日本語対応が難しい患者さんの診療にも対応しています。

2024年の当院呼吸器外科における手術の内訳
低侵襲手術について
ロボットや胸腔鏡を使用した低侵襲手術は全体の80%以上で行われており、可能な限り患者さんに負担の少ない手術を心がけております。特にロボット支援下手術を積極的に取り入れており、2020年8月に開始して以降、年々その施行数は増加傾向にあります。2024年は、肺癌に対する解剖学的切除(肺葉切除および区域切除)の92%をロボット支援下に行いました。また、縦隔腫瘍においてはほぼ全例ロボット支援下に手術を行っております。常勤医師は全員ロボット手術の術者資格を有しており、内2名はロボット手術プロクター(指導医)資格があります。これまでに、ロボット支援下手術数は350例を超えており、開胸への移行は1件もありません。

ロボット支援下/胸腔鏡下手術数の推移
ロボット支援下手術について
肺葉切除ないし区域切除を必要とする肺癌、転移性肺腫瘍、肺良性腫瘍(炎症性肺疾患含む)に対しては、患側(右肺癌なら右側)の側胸部に8mmの創3か所と12mmの創2か所(合計5か所)をおいて手術を行っています。肺を取り出す際には、12mmの創1か所を少し延長して摘出します。区域切除では約2-3cm、肺葉切除では約3-4cmの傷で肺を取り出すことができます。すべての傷は基本的に抜糸の必要ない吸収糸で縫い閉じます。
縦隔腫瘍は、腫瘍の位置によってポート配置が異なりますが、基本的には患側の側胸部に8mmの創3か所と12mmの創1か所(合計4か所)をおいて手術を行っています。腫瘍が大きければ必要に応じて12mmの創1か所を少し延長して摘出します。
重症筋無力症に対する拡大胸腺摘除術や一部の胸腺腫の手術では、剣状突起下(上腹部正中)に2-3cmの創1か所と8㎜の創3か所(右胸部2か所、左胸部1か所)の合計4か所で手術を行っております。

ロボット支援下手術の実際

左図:肺癌に対するロボット手術の傷( 術直後、 左側)
右図:肺癌に対するロボット手術の傷(1か月後、左側)
胸腔鏡下手術
気胸、膿胸、肺部分切除などにおいては、5 mmの創2か所と10-15 mmの創1か所で行う3ポートでの完全胸腔鏡下手術をほぼ全例で行っております。
また、肺葉切除や区域切除においても、患者様のご希望や日程などによって胸腔鏡下手術を行う場合があります。その場合は、5 mmの創2か所と10-15 mmの創2か所(合計4か所)で手術を行っており、肺を取り出す際には、10-15mmの創1か所を少し延長して摘出します。区域切除では約2-3cm、肺葉切除では約3-4cmの傷で肺を取り出すことができます。ロボット手術と同様、すべての傷は基本的に抜糸の必要ない吸収糸で縫い閉じます。
当科ではロボット支援下手術に力を入れてはおりますが、胸腔鏡下手術は手術時間・出血量・合併症の頻度などにおいてロボット手術と比較して遜色ない成績です。

胸腔鏡下手術の実際

肺部分切除時の胸腔鏡手術の傷(術直後、右側)
おしらせ
2025年10月
当科診療科長 長野匡晃の肺がん診療、手術治療に関するインタビュー記事が「MedicalNote(メディカルノート)」に掲載されました。
・肺がんの特徴やリスク――ステージに合わせた治療選択と早期発見の重要性
・体への負担が少なく根治性の高い治療が登場――胸腔鏡やロボットによる肺がん手術
・幅広い肺がんの患者さんに対応――ロボット支援下手術の実績を積み重ねる国立国際医療センター
2024年7月
当科医長 長野匡晃がBest Doctors in Japan 2024-2025に選出されました
2022年9月12日
当科では、2020年8月下旬にロボット手術を始めて、約2年になりますが、早くも100例到達し、内視鏡手術支援ロボット分野におけるダビンチサージカルシステムの開発、製造、販売等を手掛けるintuitive社から、記念の盾をいただきました。これまで、開胸や胸腔鏡への移行率は0%で1例もありません。
