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ACCESS Japan Registry
はじめに
近年、日本を訪れる外国人旅行者は急増し、2024年には3,687万人に達しました。観光地の地方分散や格安航空の普及により、都市部のみならず地方の医療機関でも短期滞在の外国人患者を診療する機会が急増しています。しかし、こうした患者は日本の公的医療保険制度の対象外であり、高額な医療費負担や未収金の発生、言語・文化の違いによる診療遅延や安全リスクなど、医療現場に深刻な課題をもたらしています。
これらの課題に対応するには、以下が必要と考えます。
第一に、訪日外国人旅行者の急性期入院症例に関するデータを全国規模で集積する。
第二に、そのデータを疫学的・社会的観点から解析し、医療体制や政策に反映させる。
第三に、得られた知見を医療現場に還元し、診療の質と安全性を向上させる。
そこで、国立健康危機管理研究機構と大阪大学を中心に、ACCESS Japan Registry(Assessment of Cross-cultural Medical Access and Emergency & Support Systems for Foreign Patients in Japan)を構築しました。本レジストリは、訪日外国人の急性期入院症例を対象に、全国の医療機関から症例情報を集積し、疫学的特徴、予後、医療経済的課題を明らかにすることを目的としています。これにより、国際保健医療や渡航医学の制度設計に資する科学的基盤を築きます。
正確なデータ収集と解析には、多くの医療施設の参加が不可欠となります。訪日外客に対する急性期医療の質向上と、国際的に信頼される医療体制の構築のために、本レジストリへのご協力を何卒よろしくお願いいたします。
医療機関の皆さんへ
近年、日本を訪れる外国人旅行者は急増し、地方の医療機関でも短期滞在の外国人患者を診療する機会が増えています。しかし、こうした患者は公的医療保険の対象外であり、診療費未収金や言語・文化の壁による診療遅延など、医療現場に深刻な課題をもたらしています。
ACCESS Japan Registryは、訪日外国人旅行者の急性期入院症例を全国規模で集積・解析する初の多施設レジストリです。この取り組みに参加することで、貴施設には以下のメリットがあります。
参加メリット
1. 最新情報の共有
外国人診療に関する最新の疫学データや診療課題を定期的に公表しますので、現場で役立つ知見を迅速に入手できます。
2. 医療体制の改善に寄与
本研究は集積データをもとに、国際救急医療・渡航医学の制度設計や政策提言に反映することを目指しております。貴施設の経験が全国レベルの改善につながることが期待できます。
3. 学術的価値の創出
レジストリデータは学会発表や論文作成に活用可能です。共同研究の機会を通じて、施設の学術活動を強化できます。
4. ネットワーク形成
参加施設である全国の医療機関と連携し、外国人診療に関する情報交換や支援体制構築を推進することができます。参加施設でコミュニケーションができるメーリングリスト、定期的なウェブミーティングなど情報交換ができる場面をご案内いたします。
登録方法
対象は急性期病床を有する医療機関です。現在の訪日外客の診療人数の多寡は問いません。症例登録はWebフォーム(REDCap)を用い、診療記録に基づく後方視的入力のみで完了します。
施設登録の際には各施設での倫理審査委員会への登録は不要です(研究としてデータを出力する際には別途倫理審査委員会の承認が必要となります)。
ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽に研究事務局までお問い合わせください。登録ご希望の場合には登録のご案内もさせていただきます。
研究期間
倫理承認後~2030年3月31日(延長の可能性あり)
問い合わせ先
国立健康危機管理研究機構 国際医療センター 国際診療部
E-mail:iccinfo(at)jihs.go.jp
※(at)は「@」に置換してください。